あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

私はトイレから出るともうそこに女性社員は集まっていなかった。

歓迎会会場にはいると、さっき挨拶できなかった石崎課長が席に一人でいた。
「課長はビールじゃなくてハイボールがお好きだと聞きました。」
私が声をかけると石崎課長はにこやかに頷いた。
「桐谷だな。」
「はい」
石崎課長は誰がその情報を私に伝えたかすぐにわかったようだ。

石崎課長の場所からは心平先輩は少し見える程度で席は離れている。
「どうだ?桐谷は。」
「すごいです。」
「だろう?営業Ⅰ課Ⅱ課の中でもトップの成績だ。がつがつ仕事をしているようで、これみたいに相手を大切にできる。繊細な気配りもうまいんだ。」
石崎課長は私が渡したばかりのハイボールに視線を移す。
「まぁ。仕事は器用にこなせても、人間関係には不器用な奴だからそうとう努力してるな。あれは。」
「はい」
私は聞いたばかりのノートの話を思い出した。