あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

「桐谷!」
私と先輩がサボっている場所の方を見ながらジャージ姿の先生が声をかけた。
「サボってないで、草むしれ!」
少し険しい表情の先生に先輩はさっと立ち上がる。
「一年生の須藤知佳さんが体調不良なので付き添ってました。俺、保健委員なんで。」

その瞬間名前を聞かれた理由と、”付き合って”の意味を理解した私。

こういう時の反応はいいほうだと自分でも思う。

ハンドタオル口にあてて、具合が悪く見えるようにうつむいた。
先輩がそんな私の演技に気づいて
「熱中症ですかね。保健室連れて行きます。」
とすかさず先生に伝える。

「そうだな。頼む。送り届けたら戻って来いよ?」
「はい!」
見事に先輩の先生をだますことに成功した私たちはその先生が立ち去るのを見てから吹き出して笑った。