あなたの隣～憧れ先輩と営業外回りペアになりました～

「ちゃんと人間ですよ？」
私の言葉に少しして女性社員は口々に返事をした。
「知ってるわよ。私たちだって桐谷さんが人間だってことくらい。馬鹿にしないで。」
かっとなった女性社員の視線から目をそらそうとすると後ろから声がかかった。

「ここにいたのか」
その声に女性社員の表情が変わる。

廊下の向こうに立っていたのは桐谷先輩だった。
「戻ってこないからトイレで吐いてんのかと思った。」
「平気です。純粋にトイレに行きたいだけです。」
「早くいけよなら。漏らすなよ。」
先輩の存在を美化している女性社員からしたら先輩から”漏らす”という言葉が出るだけで目からうろこの表情だ。
「はい」
私は先輩に返事をしてトイレに入った。