あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

私は「すみません。お手洗いに行ってもいいですか?」とお伺いを立てた。

でも女性社員は話が終わるどころか盛り上がり始める。
どの話も、桐谷先輩がかっこいいとか。仕事ができるとか、優しいとかありきたりな話だった。

そんな心平先輩は実はドSですよ~とかひと言、言いたい気持ちを極限まで我慢した私は、膀胱の許容範囲を超えそうになりとうとうひと言・・・言ってしまった。

「先輩はいいところもたくさんあります。皆さんがおっしゃる通り優しいところも少しあります。すこーし。」
「知ってるわよ」
私の言葉に女性社員は目を丸くして攻撃的な視線を送ってくる。
「でも、普通の人間ですよ?私も完璧な人だと思っていましたけど。人間らしい人でした。いろいろな意味で。」
脳裏に先輩の『バカ』という言葉が浮かぶ。
冷たいところも、めんどくさがりなところも、おにぎりを二口でおいしそうに食べるところも、私だって再会するまでは知らなかった。
でも、再会してたくさん一緒の時間を過ごして、美化していた記憶も、よく知りもしないで完璧な人だと思っていた考えも変わり始めていた。