あなたの隣～憧れ先輩と営業外回りペアになりました～

「明日。一緒に説明に参加するってどうして言ってくれなかったの？」
知佳が心平を見ると心平はいたずらに笑った。
「とうとうばれたか」
「ばれたかって」
「って言っても決まったの最近なんだけどな。あんまり早くに言っても緊張するだろ？お前」
悔しいことに心平には今でも知佳の気持ちがわかってしまう。
「それが嫌だったんだよ。ぎりぎりにわかればもうやるしかないって覚悟決まるだろ？」
図星だ。
「もう十分に実績も知識もあるのに、絶対に満足しないお前が俺とまた一緒に仕事するってなったら緊張するんだろうな、今の自分があの頃よりも成長できてるかなとか悩むんだろなって思ったら秘密にするのが一番だと思ってさ」
それも図星・・・。
「でも、ちゃんとくるってわかってたら準備したかった。」
悔しくて知佳がそうつぶやくと心平は知佳の頭をくしゃくしゃっと撫でた。

今日も知佳は髪を一つに結んでいる。結び目も低くしている。
このスタイルは営業外回り初日に心平に教わったスタイルだ。