知佳は資料の確認をしながらふと心平と一緒にこのフロアで仕事をしていた日のことを思い出した。

営業Ⅱ課のフロアはほとんど変わっていない。

誰が出勤していて、誰が外回りに出ているかを示すボードも前と変わっていない。

桐谷心平の下が自分の名前、須藤知佳だったボード。

そこに今では『桐谷知佳』というネームが貼られている。
今も見るたびにくすぐったくなるそのネーム。

知佳が今座っているのは心平が座っていた机だ。

心平が使っている時からある机の傷すらいまだに愛おしい。


こんな未来の自分をあの頃の自分は全く想像していなかった。