「え?」
石崎部長の言葉に知佳は思わず聞き返した。
「仕事だからな。ちゃんとけじめはつけろよ?」
「当然です。でも、本当に同行するんですか?」
「あぁ。先方のご指名だからな。それに桐谷が行きたいって積極的な返事をくれたからな。」
「・・・わかりました」
知佳は石崎部長の机から自分の机に戻った。

心平と再会してから無事に入籍を済ませた知佳。
自分が桐谷と呼ばれることにまだ慣れていない中、石崎部長から「桐谷」と呼ばれて部長の元へ向かうと、明日の取引先との製品に関する説明会に心平が同行することが告げられた。

説明会では翌月から新しく納品する製品に関しての説明が行われる。
その商品に入っている成分を開発したのが心平だった。

知佳は自分の机で明日の説明会の資料の確認を始めた。

奏介と一緒に仕事をするのはかなり久しぶりだ。