「知佳」
「・・・」
私が目覚めていることに気が付いた心平が安心した表情になる。
「大丈夫か?赤ちゃんが生まれた瞬間意識失ったんだ。ギリギリ輸血はしなかったけど、貧血ひどいだろ?」
赤ちゃんを抱いたまま心平が私に近づく。
「赤ちゃん・・」
「あぁ。よく頑張ったな」
そう言って心平は私の頬に赤ちゃんをつける。
「あったかい・・・」
「本当だな。あったかい。こんなにちっさいのに。ちゃんと生きてる。ずっしり重く感じるよ。」
心平の目も少し赤い。きっとこの子が生まれた時、心平も泣いたんだと思う。
「知佳」
「ん?」
心平は赤ちゃんを抱いたまま私を見た。
「ありがとう。この子を産んでくれて。」
「うん」
「愛してる。」
「私も。愛してる。」
優しい口づけと感謝の言葉を心平にもらい、私の瞳からはさらに涙があふれた。