心平は私の出産前にニューヨークの研究所に一週間行っていた。本人はかなり嫌がったらしいけど仕方ない。日本ではどうしてもできないことを出張して終えて来た心平。当初の予定だと半月かかる日程だったのを一週間で終えてきたのはかなりハードに仕事をこなしてきたのだとすぐにわかった。

帰った時の心平の顔はかなり疲れていて少しやつれていた。

心平が戻ってくるのを待っていたかのようにそれからまだ2日しかたっていない日の夜中にこうして陣痛が来た。

「きっとパパを待っていたんだな。生まれる前から親孝行は子だ。」
「・・・そうだね」
「少し座れ」
「うん・・・」
陣痛の間に私はソファに座る。でも、すぐにまた陣痛が来て立ち上がりダイニングテーブルに手をついて痛みを逃していた。
心平に支えられてソファに座ると心平は私の背中を支えてくれた。
「何か飲むか?」
「いらない。心平今のうちにシャワー浴びてきたら」
「・・・でも」
「赤ちゃんが生まれた時にかっこいい姿で会ってほしいから。」