「何分?」
後ろに立ってわたしの腰をさすっている心平に顔を向けずに聞く。
「12分」
「んー・・・」
「がんばろ」
心平は携帯電話のアプリで時間をはかりながら私の腰をさすってくれていた。

深夜に始まった陣痛。
産婦人科に連絡すると陣痛が10分間隔を切ったら病院に来るように言われている。

でもなかなか規則的な陣痛が来ず、結局朝方になってもまだ10分きれていない。

最近お腹が苦しくてなかなか夜も眠れずにいた私は眠いのと痛いのとずっと痛みを逃すために立っているのとで貧血気味で頭がくらくらとしていた。

この状態で出産までたどり着けるのかな・・・

不安になっていると心平が私の頭を撫でる。
「大丈夫。がんばろ。」
励ましてくれる心平の表情も疲れていた。