あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

ほとんど私の足が宙に浮いた状態で心平は体を支えて車まで運んでくれた。
車の座席を倒して私に自分の上着もかけてくれる。

「めまいだけか?」
「うん・・・貧血かな。」
「熱はなかったもんな。若干いつもより高かったけど」
「・・・なんで心平が私の体温まで把握してんの」
「当然だろ?妻の体調管理も夫の役目だ」
まだ、心平に妻と呼ばれることが慣れない。
「お腹痛いかも」
運転している心平にそういうと心平は急に車を停めた。
ハザードランプをつけて心平は自分の携帯を開く。

仕事の引継ぎかな・・・早退させちゃったし・・・申し訳ない
そんなことを思っていると心平が再びハンドルを握った。

「予定変更。内科に行こうと思ってたけど。」
「?仕事?」
「ばか。違う」
そう言って心平はかなり深刻そうな表情で車を走らせた。