「あれ、食べたい。そういえば朝ごはん食べてないから腹減ったな。昼は弁当があるから、軽く食べるか。」
「うん」
先輩はそう言ってフードコートに入った。

「これ、食べにくいだろ?」
そう言って先輩が笑ったのは水族館にいる魚を形どったパン。私たちは温かい飲み物とパンを食べることにした。
「確かに。これなんて特に目が合う。」
「ははっ本当だ。」
先輩は笑ってからカプリとパンにかぶりついた。
「うまい」
「ほんと?」
「あぁ。ほら。」
そう言って私の口にパンを運ぶ。
「おいしい」
「だろ?」
先輩が大きな口でもごもごと食べ物を頬張るところすら、見ていて泣きそうになる私。
公園で一緒に初めてご飯を食べた時も先輩は大きな口でおにぎりを頬張っていた。
私の作ったご飯も大きな口でいつも残さず食べてくれた先輩。
「もう一口食べたい」
と大きくパンを頬張ったのは泣きそうになるのをこらえるため。