「ほら」
車から降りた私に先輩は手を差し出す。

前に来た時とは私たちの関係が大きく変わっている。
その変化にくすぐったさを感じながら私はその手を取った。

「どこから行く?」
先輩がそう言って入場口へ向かう。
「え?チケットは?」
私がたくさん人が並んでいる券売機の方へ進もうとすると
「先手を打った」
と先輩が手にチケットを2枚持っていた。
「?」
「ネットで買ったんだ。前に来た時、すごい並んだだろ?」
「ありがとう」
今日は先輩からの好意は素直に受けることを決めている。
急に私は水族館に行きたいとお願いしたのに、いつの間に先輩は用意していたのだろう・・・
そんなことを思いながら私は先輩からチケットを受け取った。