あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

「知佳。行くぞ」
先を歩く先輩。その後ろ姿を見ながら私は少し鼻の奥がつんとした。

気を緩めたら泣いちゃいそう・・・


でも、我慢しなきゃ。
この週末が終わったらいくらでも泣いていいから。
この週末が終わるまでは絶対に泣いたらいけないと心に決めていた。

なぜなら、この週末は先輩が夢に向かって羽ばたけるように背中を押すための週末だからだ。

私が泣いたら、優しい先輩は私の泣き顔をずっと引きずる。

その意味を考えて夢にまっすぐ向かえないかもしれない。

そんなの・・・いやだ・・・

「知佳」
先輩がもう一度振り返って私を呼ぶ。