瞳を開けるとそこには先輩が私の顔を心配そうにのぞき込んでいた。
その顔が疲れている。

「心配した」
「ごめんなさい」
私は先輩の顔を見てなぜか涙が流れた。
その涙を拭う先輩の手が熱い。

私が先輩に向かって手を伸ばすと
「点滴してるから」と先輩が点滴が外れないように私の手を取ってくれた。

「病院で今点滴してる。終わったら帰っていいって。この週末は安静に過ごそうな。」
話をすると気管が痛む。この痛み方はかなり懐かしさを感じた。昔、まだ喘息がひどくてよく入院していた時に感じた痛みだ。

「知佳。」
先輩に呼ばれて先輩の方を見つめる。
先輩は私の手を握りしめながらまっすぐに私を見ていた。