あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

「須藤」
帰り支度をしてどうしても終わらなかった簡単な仕事を石崎課長に託そうと課長の席に向かうと石崎課長は私に微笑んだ。
「頑張ったな。それは認める。」
「ありがとうございます。」
「でも、ペースを飛ばしすぎだ。」
前に心平先輩にも言われたことのある言葉をそのまま課長にも言われた。
「この仕事を長く続けてほしいから言ってる。」
石崎課長なりの配慮で言ってくれていることが分かっている。でも、今の私には責められているようにしか感じない。
「桐谷はいつも定時であがってただろ?」
「はい・・・」
「あいつだって熱心な奴だから本当は残ってもっと仕事をしたい思いはあったはずだ。でも区切りをつけて帰っていたのはあいつも長く続けるために必要なことだって知っていたからじゃないか。」
そんなところも、先輩の方が自分自身をよく知っているからできることだ。

きっと課長も、先輩も私がペースを飛ばしすぎてこうなることを予想していたんだ。だから私にストップをかけようとしていたんだ。