あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

先輩がいくら無茶と思える注文をしてきても、先輩はそれだけのことをしているから納得してしまう。私には無理でも、きっと先輩にはできるんだ。

だからこそ、先輩に近づきたい。ちゃんと見合うペアになりたいという思いが私を駆り立てていた。

「今日は午前10軒、午後は新規探しの営業だ。」
「はい。」
「昼に戻らないで新規に行くからサンプルセットのAを30セット用意しておいて。」
「はい。」

だいたいはお昼に一度、社に戻る私たち。私はデスクでおにぎりかサンドウィッチをかきこんでから午後の準備をすることが多かった。そして先輩が昼休憩から戻る前に午後の準備をする。

ブザーを鳴らしてしまった後から私は少しずつ薬品の棚を覚えて、前よりは準備も早くなりつつあった。とは言ってもまだ先輩の10倍近い時間をかけている。

「8時50分出発な」
「はい」
私は先輩に返事をするとすぐにその日に必要なリストをプリントアウトして薬品の準備に移った。