あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

私の体が温まるまで先輩は何も話をしなかった。

「知佳」
「・・・」
「知佳?寝てんのか?」
「・・・」
私がこのまま寝たふりをしようかと思っていると先輩が私の体を自分の体から離そうとした。
慌てて私は先輩に近づく。
とっさに反応してしまったことに後悔しても遅い。

「どうした?」
「・・・」
「その涙のわけは?」
「・・・」
「知佳。ちゃんと話をしてくれないとわからないだろ?」
先輩の声はこの上なく優しい。

はじめから先輩は私が泣いていることに気が付いていたんだ。