「知佳」
その声を聞き違えるはずがない。
「・・・」
顔をあげると心配そうな顔の先輩がいた。
友達も先輩の登場に道をすっと開けるように離れていく。
「大丈夫か?」
「・・・ダメです。」
私は先輩が今日もまぶしく見えて、自分の前に膝をついてしゃがみこむ先輩に抱きついた。

「酔っ払い。」
「すみません。かなりのんでしまって。もぁー知佳。しっかりしなさい。」
友達がフォローしてくれる。
「知佳?」
私は先輩の肩に自分の顔をぴったりとつけた。
「眠いの?」
「ほら、ちゃんとたちなよ。」
友達が私を立たせようとする。
でも私は両手に力を込めて先輩から顔を離さなかった。

離せなかった・・・