あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

外回りの仕事は楽じゃない。
一日にいかに効率よく薬品を届けるかも重要だし、新規の契約をとるためにただ外回りするのではなく新しい店舗や、まだ営業で回っていないエリアの下調べも大切だ。もちろん今契約している病院や店舗との契約継続も重要な仕事の内容だ。

こうなると私のような新人には時間が足りない。

先輩が薬品をいかに効率よく準備するか、先輩がひとつひとつのことを調べなくても知識として自分のものになっている頭の中のデータからやり取りしているか、その意味が理解できる。
私にもしも先輩くらいの頭の良さがあれば、もっとうまくできるのにと不甲斐なくなる日が続いた。

やっと一週間が過ぎようとしているころには私はへとへとに疲れきっていた。
新しい靴のヒールはすでに擦り切れている。

金曜日。私は朝出勤して、自分の名前の横に『出』と札をはり、自分の机と先輩の机を拭いた。そして給湯室でお湯を沸かす。
営業Ⅱ課は勤務している職員が多くてお湯もすぐになくなる。
そのためかなり大量のお湯を沸かす必要があった。