あなたの隣～憧れ先輩と営業外回りペアになりました～

「気を付けてくださいよ。全く、昼食中でしたから。私は戻ります。」
「すみませんでした」「申し訳ありませんでした。」
看守さんが立ち去るときも先輩と私は頭を下げ続けた。

「ばか」
「ごめんなさい・・・」
先輩にバカといわれることに初日から慣れてしまいそうだ…そんなことを考えていると不意に先輩の手が私の頭を撫でた。
「俺も説明不足だったよ。びっくりしただろ？」
その言葉に、安心しきって私はまた泣き始める。
「泣くな。目が腫れたら午後の営業に響くから。」
と先輩は笑った。

その笑顔は昔一緒に嘘をついた後に笑いあった時と変わらない無邪気な笑顔だった。

先輩は結局私と一緒に薬品庫から必要な薬品をそろえるのを手伝ってくれた。
「ありがとうございます。」
「明日までお前のID使えないから仕方ないだろ？」
そう先輩は言ったけど、その表情は穏やかで優しい顔だった。