あなたの隣～憧れ先輩と営業外回りペアになりました～

「知佳！」
その時、私の体を力強く後ろから抱き寄せられた。
「先輩」
姿を見ただけで私は涙目になる。
「けがは？」
先輩はそう言って私の頭から足の先まで見た。
「大丈夫です。先輩は？」
「大丈夫。とりあえず出よう。ここは危ないから」
そう言って先輩が頭上に視線を移した。

それまで自分の頭上にまで気を配る余裕がなかった私は頭上がガラス張りだったことに気が付き慌てた。

「気を付けろ。」
先輩は足が震えて動転している私の肩を支えながらひとまずモールの外に出た。

モールの外へ出るとあたり一帯が停電していることが分かった。
モールの中は非常電源だったのだと気づく。