あなたの隣～憧れ先輩と営業外回りペアになりました～

「名前、なんだっけ？」
「須藤です。」
「須藤。」
「はい・・・」
いきなり呼び捨て・・・。
「あなた桐谷さんとペア組んでるの？」
「はい。」
なんとなく話の行く末が分かった気がして私はそっけない返事を返す。
「私の悪口言わないでよ？」
「え？」
「私のこと。それから桐谷さんはみんなの桐谷さんだから。抜け駆けはダメだからね。それと、営業でペアを組んだからって自分が選ばれたとは思わないで。」
「・・・はあ・・・」
曖昧に返事をするとその女性はきっと私をにらんだ。
あまりの威圧感に私は「はい」と思わず返事をし直す。

高校の頃の先輩の人気はここでも健在なのだとやけに冷静に考える自分がいた。