あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

何が起こったのかよく状況がつかめないまま私は必死にベンチにしがみついていた。
何かが割れる音やきしむ音、落ちる音がする。

私が何とか周りの状況に思考回路が追い付いたのは揺れが完全におさまってからだった。
とりあえず震える手で先輩に連絡する。

私が先輩と待ち合わせをしたのはちょうどモールの中央広場。先輩がくるであろう女性ブランドの多い店舗の並びに体を向ける。

こういう時、通信規制がかかるということを私は通話を選択してから知った。
伝言板がある。でも使ったことがない。
通信規制のせいでうまく通信もできない。

どうしたらいいの?

もう泣きそうという状況で周囲を見ても、みんな恐怖に声をあげたり顔色の悪いままどこへ行ったらいいのかすらわからずうろうろとしていた。携帯の画面を見つめたり、耳に携帯をあてたりしている人が多い。