あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

「私の両親は私が高校生のころ離婚してるんです。」
今まで話してこなかった話をすると先輩は真剣な表情になり聞いてくれた。

「実家には母が住んでいます。私のおばあちゃんと一緒に。父は・・・」
「?」
「今、ちょっと居場所が分からないんです。」
「どういうこと?」
「大学を卒業してから養育費は振り込まれなくなって、母が私の大学の卒業式の写真を父の住所に送ったらしいんです。そしたら引っ越ししていたらしく、戻ってきてしまって。電話番号も変わっていました。」
先輩が切なそうに私の髪を再びかき上げた。
「親としての責任は果たしたからっていう意味なのか分かりませんけど。連絡を取るすべがなくなってしまって。私と母もそれ以上は探す気が起きないというか・・・」
「そっか」
「すみません。父にもあってほしかったんですけど。」
「そうだな。じゃあ、お母さんに挨拶に行かせてくれるか?」
「もちろんです。連絡してみます。きっと喜びますよ。」
「だといいけど。」
私は素直に先輩からの申し出がうれしかった。