「まだ車あったまらないんだ。」
「ありがとうございます。」
仕事の時は相変わらず冷たいことも、鬼のように厳しいこともある先輩。でも二人の時はこうして優しいことが多い。そのギャップにまんまと私はやられてしまう。

「クリスマス、俺んちでいいか?」
「はい」
私たちはクリスマスを一緒に過ごす約束をしていた。二人で過ごす初めてのクリスマス。今週末は一足先にお互いのクリスマスプレゼントを選びに行く予定だった。
「でも、いいのか?どこかで豪華ディナーとかじゃなくて。」
「いいんです。家でのんびりの方が。」
「変態」
「そういう意味じゃありません。」
「お前。返しが早くなってないか?」
「先輩に鍛えられていますから。」
「これ以上強くなったら困るな。」
先輩はそう言って笑った。

せっかくのクリスマス。豪華ディナーの方がいいという人もいるかもしれない。でも私たちはどちらかというと家でのんびり過ごすほうが好きだった。