先輩が無事に書類の提出を終えて、気づけばクリスマスまで数日。
私と先輩は年末の業務に追われていた。取引先へのあいさつまわりや一年の仕事のまとめ作業が山ほどある。年末年始は一週間ほど私たちは仕事が休みで、その期間の業務も年末にやらなくてはならなかった。

やっと金曜日になり私と先輩は定時にはさすがに上がれず3時間以上残業をして会社を出た。まだ私たちの関係は会社の誰にも気づかれてはおらず、私たちは会社を出る時も用心しながら出ていた。だいたいは先に先輩が駐車場へ向かって車で近くの待ち合わせ場所まで行き私を待ってくれる。そこへ私は歩いて向かい、先輩の車に乗り込んだ。

「お疲れ」
「お疲れ様です。さすがに疲れました。」
ここ数週間は毎日残業をして、日付が変わるギリギリに帰宅する生活を送っている。一日に営業で回る軒数もいつもの2~3倍になっていて、運ぶ薬品や商品の量も年末年始に向けて3~4割増し状態。そして追い打ちをかけるのがインフルエンザや感染症の流行期に入るため、そこへ輪をかけるようにして専門のワクチンや治療薬の需要が上がった。

「なー。疲れたな。今週も。あと一週間で終わるから乗り切ろう。」
「はい。」
先輩はそう言いながら私の膝に自分の脱いだコートをかけてくれた。