あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

「知れば知るほど薬ってすごいと思ってさ。親父みたいに誰かの命を奪うこともできるけどそれ以上にたくさんの命を救うことだってできる。何年も悩まされた症状が改善して夢を叶えることだってできるんだ。もちろん。生きたいっていう希望を叶えることもできる。」
話している時の先輩の目がきらきらしていて私は余計に罪悪感を感じた。

「知佳のことも大切だし、一緒にいたい。でも、俺はやっぱり研究チームに行きたいんだ。薬の持つ可能性を広げることが俺の夢なんだよ。」
先輩の口から改めてその話を聞くことができて私の心に響いた。

「ごめんなさい。私、知らなかった。ちゃんと。」
「俺もちゃんと話さないままごめんな。」
先輩の言葉に私は首を横に振った。

「先輩」
「ん?」
私はまっすぐに先輩の顔を見た。もう、嘘はない。
嫌われないようにという嘘や繕いはない。

「頑張って。応援してます。心から。寂しいけど、私も先輩に研究チームに入ってほしい。」