あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

私は先輩がたまっていた洗い物を洗っている後ろから先輩の背中を抱きしめた。
「どうした?」
先輩が振り返ろうとする。私は必死に両手に力を込めて先輩が振り向くのを阻止した。

「ちゃんと連絡しないでごめんな」
そう言って先輩が手を止める。
私は首を横に振って言葉はなくても先輩に謝らないでほしいというサインを伝えた。

「俺、器用じゃないからさ。ごめん」
もう一度謝る先輩に私の心が痛む。
「謝らないでください」
先輩が謝ることない。

「先輩が器用じゃないことわかってます。」
「ははっ。だよな。」
「わかってるのに・・・私・・・・ごめんなさい」
先輩は私が謝ると私の両手をギュッとつかみくるりと体の向きを変えた。
先輩の力にはかなわない。簡単に私は先輩の胸の中にすっぽりと包まれた。