「なんでお前が泣きそうなんだよ。」
抱きしめたまま先輩が言う。
「泣いてません。泣いていいですよ?」
「泣くかよ」
そんな言葉を交わしながら先輩が私の体を少し離して熱い口づけをする。

「大好きです。先輩」
「俺も。愛してる。」



私たちはその日初めて体を重ねた。

両手を握り合い吐息が混ざり合うとき、私は涙があふれた。

先輩と近づけた気がした。

分かり合えた気がした。

幸せな満たされた時間に涙があふれて止まらなかった。