「5分たったぞ」
そこに先輩が来た。
「脅すなよ。」
そう言って私の手をお母さんから放す。
「心平も手伝って。」

先輩のお母さんはとても明るく振舞っていた。
でもそれすら私には先輩が自分らしさを出すためにお母さんはあえて明るく振舞っているのではないかと思えた。


「今日はありがとうな」
「いえ。かえっていろいろいただいたりごちそうになって・・・」
帰りの車の中。先輩は私が疲れないようにと食事が済むと早々と帰宅した。
「芋羊羹。大正解でしたね。」
「だから言っただろ?」
私が手土産の芋羊羹を渡した瞬間、お母さんは食事ではなく芋羊羹を切って食べだした。
「あの人は羊羹に目がないんだよ。昔から好きだったんだ。」
「そうなんですか」
「あぁ。」