あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

先輩は亡くなったお父さんとお母さんのことがあって余計に人を信じたり誰かを好きになることに対して怖さを感じるのではないかと家庭の背景を少しずつ知るたびに私は考えていた。ほかの誰かの望む姿に自分を無理にはめ込もうとしたのもそういう幼いころの経験があるからなのかと思う。

だとしたら私の前ではありのままの先輩でいてほしいと私は思う。

「誕生日に一緒にいなかった期間があったから余計に俺の誕生日は絶対に自分に会いに来いっていうのが母親と俺の約束なんだ。俺を海外の大学に行かせてくれた条件もそれだ。」
お母さんの再婚相手は実業家らしく、先輩とお父さんの関係は良好らしい。

「本当に羊羹でよかったんですか?」
私は先輩にアドバイスを聞きながら手土産に羊羹を選んだ。
「俺の母親は芋羊羹に目がないから大正解だよ」
「だといいですけど。」

今日は先輩の誕生日。
先輩はお母さんとの約束に私にも付き合ってほしいといった。

もちろん、先輩のお母さんに会えるのはうれしいけど、やっぱり緊張する。