あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

「お前、手」
先輩はそう言いながら私の背中に手をまわす。
「私が好きなのは桐谷心平です。」
「・・・?」
「優柔不断な先輩も。ドSな先輩も。生魚嫌いな先輩も。実は努力かな先輩も。好きです。」
「それはどうも」
先輩の返事は照れ隠しだとわかる。

「知佳」
「はい?」
「ありがとう」
「・・・いいえ」






私たちはそうしてしばらく抱きしめあっていた。