あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

「嘘だよ」
先輩は私の膨らんだ頬をつまんだ。
「信じられると思ったんだよ。お前のことは。」
「信じられる?」
「そう。俺、人のこと信じるの苦手でさ。」
先輩が自分のことを話すことは珍しい。まして自分自身のマイナスなところを話すことはほとんどない。いつもは自分のマイナスなところも努力でカバーして、言い訳しないのが先輩だ。
仕事じゃないからこうして話してくれているのだと思うとまた新しい先輩の領域に踏み込めた気がした。