あなたの隣～憧れ先輩と営業外回りペアになりました～

「そっか？じゃあ行ってくるわ。」
「はい。お願いします。」
先輩がフロアを出るのを見てから私はそっと自分の両手首を見た。

両手にはあざが見えないように包帯を巻いてある。

『また俺から逃げるのか？今度は逃げられると思うなよ』
昨日投げかけられた言葉が頭の中でこだまする。

私は現実を忘れるために仕事に打ち込んだ。

先輩が帰ってきていないということは、まだ高瀬との交渉中ということだ。
私は先輩にメールを送った。
『お言葉に甘えて先に戻らせていただきます。お疲れさまでした。』

今のうちに帰れば今日は待ち伏せされていないはずだ。