あなたの隣～憧れ先輩と営業外回りペアになりました～

「素直なお前、気持ち悪いな。」
先輩は疑いの目を向けたまま私を見る。
「寒いのか？」
「え？」
「いや、フロアはあったかいだろ？」
確かに外は夜になると寒いけどまだ室内はそこまで寒くはない。
でも私はスーツのジャケットを着たままだった。

これには事情がある。

「そうですか？」
私はそのままとぼけることにした。
「風邪じゃないだろうな」
不意打ちで先輩が私のおでこに触れてくる。

ちらりと周りを見ると女性社員からのかなり刺さりそうな視線。
「大丈夫です。」
私は先輩の手から少し体を後ろに下げて離れた。