あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

「何でもありません」
先輩もこの半年で私が何を考えているかすぐに察知するようになった。
私は精一杯微笑んだ。
「疲れたんだろ。早く帰ってゆっくり風呂に入って、寝ろ。」
「はい」
先輩はそう言って運転席に乗った。

いつものように筋張った大きな手でハンドルを握る先輩の横顔をそっと見る。

この場所にいられるのもあと半年か。目にやきつけておこう・・・。


あっという間に私のアパートの前に車が停まった。
「ごちそうさまでした。」
「お疲れ。じゃあな。」
「はい。」
私はいつものように助手席の窓から先輩にお礼を伝えて車から離れようとした。
「須藤」
「はい?」
先輩に呼ばれて私は助手席の窓から運転席の先輩を見た。