あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

「ただいま」
「おかえりなさい」
先輩が戻ったのは就業時間を過ぎてからだった。
「先に上がっててもよかったのに。」
「いえ。」
私は戻った先輩に温かいコーヒーを淹れた。
「サンキュ」
「どうでした?」
「契約まではあと何回か交渉が必要だけど、次は具体的にどの商品にするかを決める打ち合わせだな。」
「さすがですね。」
先輩は交渉するときのペースが速い。ほかの人なら何回も打ち合わせや交渉をするところを数回で話をまとめられる。それだけ相手のニーズを知る力と、そこにこたえられる商品のデータが頭に入っているからだ。金額交渉も頭にだいたいの段階が入っている。
「これからさっそく資料作りだから、まだ帰れないな。」
「手伝います。」
私の淹れたコーヒーを先輩は自分の席に座って飲んだ。
「うまい。」
「よかったです。」