先輩に呼ばれて私は先輩の方を見た。
「高瀬には俺一人で行く。次からは。」
先輩はハンドルを握って運転しながらそう言った。
「大丈夫です。」
「だめだ。」
「大丈夫です。私情を仕事には」
「だめだ。」
先輩は有無を言わさぬタイミングで私に言う。
「何かあってからじゃ遅い。ただでさえ、なんで今日高瀬を選んだか後悔してんだから。これ以上俺を後悔させるな。」
そう言えば先輩は私が折れると知っているんだ。
「でも、仕事は仕事です。やらせてください。それに」
「それに?」
「私も乗り越えたいんです。」
私だって先輩をよく知っている。

こういえば先輩だって押すに押せなくなることを私は知っているんだ・・・。