「どんどん執拗に距離を詰められて、束縛されて、暴力振るわれて・・・離れるのにかなり苦労したんです。」
「もう、いい。」
「・・・」
「話さなくていい」
先輩はそう言って私の頭を撫で続けてくれた。
私は自分の手で自分の目を覆ったままその手のぬくもりに、過去に引き戻されそうな心をつなぎとめられるような感覚を覚えていた。

少しして私は目を開けた。
そこには心配そうな目で私を見つめてる先輩。
「すみませんでした。戻りましょう。」
「あぁ。」
「私、運転できます。」
「いい。俺が運転する。」
「ありがとうございます。」
何かあったら危ないからと私は先輩の申し出に甘えることにした。

「須藤」
「はい?」