あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

確かな手ごたえを感じて私と先輩は会議室を後にした。
「知佳」
もう一度懐かしい声に名前を呼ばれて私は振り返った。先輩も一緒に振り返り足を止める。
「連絡先、変わってからわかんなかったから。元気だったか?」
「はい・・・」
仕事中にプライベートな話はあまりしたくない。

特にこの人・・・琢磨とはしたくない・・・

「新しい連絡先、さっきの名刺の番号に連絡すればつながる?」
「・・・いえ。あれは会社の携帯です。」
「なんだ。じゃあ、新しい番号」
そこまで琢磨が言いかけたところで心平先輩が声を出した。
「すみません。次の約束がありまして。近くにご連絡しますので、その際はぜひほかの製品もお試しください。」
「・・・わかりました。よろしくお願いします。」
先輩の助け舟が功を奏して私は連絡先を教えずにすんだ。