あなたの隣～憧れ先輩と営業外回りペアになりました～

会議室の扉が開いて私たちは席を立った。
すると扉の向こうからはスーツ姿の人が2人入ってきたのが分かる。
「本日はお約束もなしに伺って申し訳ありません。〇〇製薬の須藤と申します。」
「桐谷と申します。」
私に続いて先輩も頭を下げる。
「本日は貴重なお時間を頂戴しましてありがとうございます。」

私は下げていた頭をあげて相手の会社の社員を見る。
その時「あれ？」相手の社員が私を見ながら声をあげる。
私もその人に見覚えがあった。
「知佳。」

私の名前を呼ぶその人は久野琢磨。

私の元カレってやつだ。

思わず動揺した私にすかさず先輩が話しを繋げてくれる。
「須藤とお知り合いでしたか？」
営業は話の進め方が大切だ。ペースを相手に取られては契約は取れない。