あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

「もう、知りませんよ。」
「大丈夫だよ。お前なら。俺が育ててる新人だからな。そこらの新人とは違うだろ。」
確かに私とペアを組んでからも先輩の営業成績は落ちることなく圧倒的な一番だ。
そんな先輩と一緒に営業を回っている私は明らかにほかの新人よりも場数を踏んでいる。それにほかの人が経験できないようなことを経験できている。

私は深呼吸をしてからなるべく胸を張り歩き出した。

少し振り返ると先輩がちゃんと私について歩いてきてくれる。

この半年。私は先輩の後ろについて歩くことで精いっぱいの時もあったけど、先輩が私のすぐ後ろからフォローしてくれたり見守ってくれた。
その存在感に温かさや心強さを感じながらここまで来ることができた。
私はこれまでのことを考えながら新規獲得できるように、心は負けないようにと覚悟を決めた。

受付の女性に話をするとすぐに営業部の幹部の人と会わせてくれることになった。
会議室に通された私は先輩と隣同士で座りながら持ってきたサンプルを用意した。

「頑張れ」
最後に先輩が小さな声で私に言う。
私は小さく頷いた。