あなたの隣～憧れ先輩と営業外回りペアになりました～

「サンキュ」
先輩はなぜ私が来たのかと不思議そうだ。
「じゃあ。帰ります。ゆっくり休んでください。」
先輩の負担にならないように私はぺこりと頭を下げてきた道を引き返そうとする。

「須藤」
後ろから先輩のかすれた声に呼ばれて振り返ると先輩が玄関から身を乗り出していた。
「何で来たんだ？」
「タクシーです。」
「待たせてんの？」
「いえ。大丈夫です。すぐ呼ぶんで。」
「あがれ」
私の返事に先輩は有無を言わさぬ速さで私をよんだ。

「ダメです。先輩は休んでください。失礼します。」
「いいから。タクシー来るまでいろ。」
「でも」
「早く。立ってんのしんどい。」
先輩の言葉に私はすぐに先輩の方へ近付いた。