「…うん、じゃあおやすみ。」

慣れた手つきで通話終了のボタンを押した私は、ベッドへ倒れ込むようにして寝転がった。


ぼーっと携帯を見ながらうとうとし始めたとき、再び電話が鳴った。
見慣れた名前、さっきまで電話をしていた圭太(けいた)だった。


「どうしたの?」

『密華?…いや愛してるって言ってなかったなと思ってさ。』

「ふふ、付き合ってもうすぐ3年になるのにそういうとこ、変わらないよね。」

『当たり前だろ?…愛してるよ。おやすみ。』

「うん、私も愛してるよ。おやすみね。」


愛してるという言葉もまるで挨拶のように言えるようになったこの関係に、私はなんの不満もなかった。