『悠人に切ってもらえるなんて、嬉しいよ。でも、あの頃に比べたら、私は若くない。もう…30歳越えたんだから…』


悠人は、後ろから、私の肩に顔を近づけて…


『どんな年齢であっても、穂乃果は穂乃果だ。ずっと年齢に合った美しさ、可愛さがあればそれでいい』


『…ありがとう。なんか緊張するね。予約の取れない悠人にカットしてもらえるなんて…特別な感じがする』


悠人は、ニコッと笑って、カットを始めた。


私の、長めの髪に、ハサミを入れて…


慣れた手つきでレイヤーカットを施していく。


懐かしい。


未熟だったあの頃の私は、必死で悠人のカットの技術を見てた…


自然なハサミの使い方に、驚いたのを覚えてる。


目の前の自分の雰囲気が、どんどん変わっていく…


素敵…


カットが終わり、ドライヤーで形を作ってくれて…そして完成した。


こんなにも軽やかな印象になるなんて、やっぱり悠人は天才だ。


ほんの少しだけ、若返った気がしてくる。