『恭吾さんのそういう正直なところが、私は好きなんです。だから、そんなに謝らないで下さい。お父様のお顔を立てるためのお見合いだったとしても…私はもう、あなたを好きになってしまったから…後には引けません』


真っ直ぐに僕を見つめるその瞳が、とても綺麗だった。


この人は、素直で正直な人なんだろうと思う。


僕なんかより…ずっと…


『その人を忘れて、私を…好きになってもらうことは無理ですか?私、いっぱい努力して、恭吾さんに好かれるように頑張ります。恭吾さんが嫌なところがあれば、ちゃんと直します』


そう、少し涙ぐみながら言ってくれた。


とても積極的なその言葉に、僕はなぜか心を動かされた…


もう…


いい加減に、穂乃果さんのことは、忘れないといけない。


そんなこと、もうずっと前からわかっていたはずなのに…


香織さんに、それを改めて気づかせてもらったような気がした。