私は、目を閉じながら、しばらく恭吾さんの温かい体温を感じていた。


『…ごめん…こんなことして。月城さんに叱られるね』


私から離れた恭吾さんは、笑顔だった。


少しホッとした。


『本当に…ごめんなさい。そんな風に言ってもらって、すごく嬉しいですけど…恭吾さんは、いずれは会社のためにトップに立つ人。だから、素敵な奥様を見つけて、一緒に…その人と幸せになってもらいたいです…』


『…そうだね。ありがとう…いつか、そんな日が来れば…いいけど。しばらくは、無理そうかな。ああ、もう行かなきゃね、穂乃果さんを早く送らないと、月城さんが心配するだろうから』


恭吾さんは、眼鏡を少し動かして、きちんと元の位置に戻した。


本当に…眼鏡が良く似合う人だな…


知的なイケメンさん。


こんな素敵な人に、こんなに大事に想ってもらってたなんて…本当に信じられない。