長く続いた戦争が終わって数年。瓦礫の山だった街は復興していき、多くの人々が平和を噛みしめながら生活することが当たり前になっていた。

しかし、グレイソン・ハーパーの職業は平和とは少し違うものかもしれない。彼の職場は刑務所。彼はそこで看守をしている。

戦争が原因で、サーベラス刑務所には多くの囚人が未だに収監されている。貧しさからの詐欺や強盗、そして戦争犯罪を犯した元兵士たちーーー。

「おはようございます」

グレイソンは夜勤の看守に声をかける。そして異常がなかったかを確認する。いつもの光景だ。そして、緩めることのできない緊張感がグレイソンを包む。

サーベラス刑務所は、凶悪犯を主に収監している。脱獄することなど不可能と言われており、世界最強の要塞とも噂される場所だ。

刑務所の周りは高い塀で囲まれており、ドアの鍵もどんなピッキングの達人でさえ半日はかかるような頑丈なものになっている。ここで働く看守たちは、選ばれた者しかなれない。