『暫く観戦』ってことは、やっぱりいいタイミングを見計らってたわけだ。



嗚呼、少女漫画の見せ場のカラクリを暴いてしまったよ。


嘆かわしい、とばかりに盛大に溜息。


「それで私がブチ切れるのを待ってたってわけね…女達全員の王子様ってのも大変ね」


「は?何言ってんだお前」


額に手を当てて嘆いていたところを、近江涼介にばっさりやられた。



そして、近江涼介は続ける。




「俺らが止めに入ったら、お前ずっとあの気持ちわりぃ女のままだったろ」



思いもよらない言葉に、目を見開いた。



近江涼介は相も変わらず無表情。

榛名聖も笑みを絶やさず。

金髪はふんっと鼻を鳴らしてる。



「気持ち悪い訳ないでしょ、私のぶりっこは世界一可愛いんだから!」


「言ってろ、ブス」



…だから私も、動じてないフリをしてやる。